ちょいと自分語りしていいか?
あの、ワシ、考えてみると、今まで一度もマトモに学校とかの卒業式に出たことがなかったってことに今更ながら気付いたんだ。
小学校の時の卒業式な。あのときワシは式の後半の方に、確か貧血か緊張かで倒れちゃってさ、先生たちに空き教室まで運ばれていって、んで、気がついたときにはそのまま卒業式が終わっちゃってたんだよね。卒業式に倒れるとか、どんだけ貧弱なんだって思ったよ。
そんな子供時代だったから中学に入ってももちろん朝礼で倒れたさ。居るでしょ? どこの学校にも朝礼で倒れるヤツ。あれ、ワシなんだよ。典型的なメンタル弱々人間だったんだよね、ワシ。
そういう奴の学校生活がどうなるか、これを読んでる読者なら分かるよね? そう、ワシ、当然のように不登校になったよ。バカみたいだろ?
てな訳で迎えた中学校卒業式は欠席。
卒業アルバムの集合写真で、一人だけ右上の方に丸く別撮りの写真で写ってるヤツ居るでしょ? あれもワシだよ。よくネタにされがちなやつだよ。
で、そこまでならまだよかったんだけどさ、読者諸君は知らないでしょ? 中学の卒業式に出れなかったヤツがその後どうなるのか。
これ、とにかく卒業証書を受け取ってないわけだから、後日、学校側から呼び出しがかかるんだよ。だから行ったよ。母親を連れて。メンタル弱々人間にとってはかなりキツかったけど、仕方なくね。
で、行くと校長室に通されてさ、「では、卒業証書を渡します。」ってな段になると、職員室から教職員全員がその校長室にぞろぞろとやってきて、ワシ一人だけのための簡易的なサプライズ卒業式が始まるんだよ。マジ勘弁してくれって思ったけどさ、耐えるしかなかったね。メンタル弱々以前にさ、思春期の男子だぜ? まじトラウマになるレベルのサプライズだっての。これさ、あまりに最悪すぎて、その時の記憶がほぼないんだよね。あのあと、どうやって家に帰ってきたのかとか、母親がどういう顔をしていたかとか、全然覚えてないんだよ。
でね、中学は行ってなくても卒業できるんだけどさ、その後が問題なんだ。入れる高校がない訳だからね。そんなワシが唯一入れたのが都立の定時制高校だった。そう、夜学だよ。学費がめっちゃ安いところだよ。ヤンキーもたくさんいた。
で、結局そこもしばらくすると行けなくなってさ、そのまま退学しちゃった。だから高校の卒業式ってやつに関しては、まったく経験がないんだよ。
その後のワシ、東京から飛び出して、名古屋・京都・大阪を巡る一人旅をしたりして自分探しみたいなことをしていたよ。もちろんお金なんてないから、ユースホステルっていう安宿を使った貧乏旅だった訳なんだけどさ、それがめっちゃ充実した旅で、行ってよかったなって今でも思う、そんな旅になったんだよ。
で、その旅に力をもらったワシ、一念発起して大学入学資格検定(旧大検・現高認)を受験して合格。それで大学に入学できる資格を得たワシは、流れで通信制大学に入ったのさ。でね、紆余曲折あったけど、そこをなんとか頑張って卒業して、卒業証書兼学位記を貰うことが出来た訳なんだけど、でもね、それ、郵送で送られてきたやつなんだよ。だからワシ、大学でも卒業式みたいなものに行くことなく終わってしまったんだ。
もちろん大学側が学位授与式を開いてくれてはいたんだけど、ワシ、行かなかったんだよ。なんか、そんな気分になれなくてね。今思い返すと、ワシの大学生活は、入学のときも卒業のときも、誰からも祝われた記憶がないんだな。
と、いうような訳で、ワシ、今までの人生でマトモに卒業式に出たことがないんだよ。そんなヤツ、この世の中にそう多くは居ないと思うんだ。だからマジで幸せな青春時代を過ごせたやつらが羨ましいんだよ。メディアで卒業ソングとか流れてきても全く共感できないんだよ…
あ、でもね、学費は安く済んだ。高校と大検と大学、全部合わせても100万くらいだったんじゃないかな。それで大卒(学士)の資格が得られてる訳なんだから、世の中ってのは良いことと悪いことがトレード・オフの関係にあるのかもしれないね。まあ、割に合わないとは思うけどさ…